この記事の結論
- 生活音には「空気を伝わる音(空気伝播音)」と「物を伝わる音(固体伝播音)」という性質の異なる2種類があり、それぞれ効果的な対策が違う
- マンション・アパートの構造(木造・鉄骨造・RC造)によって、そもそもの音の伝わりやすさが大きく異なる
- 「うるさい」と感じる基準は人によって差があるため、目指すべきはゼロにすることではなく無理のない範囲での軽減
在宅ワークが増えてオンライン通話をする時間が長くなった、子どもが歩き始めた、ペットを飼い始めた——生活スタイルが変わったタイミングで、「うちの生活音、隣や下の階に迷惑をかけていないだろうか」と急に不安になる人は少なくありません。
まだ実際に注意されたわけではなくても、一度気になり始めると、テレビの音量や足音、椅子を引く音までいちいち気になってしまうものです。
このサイトでは、そうした賃貸マンション・アパートでの騒音の悩みに対して、工事不要・原状回復可能な範囲でできる対策を、公開されている情報をもとに整理していきます。
第1章となるこの記事では、まず「そもそも音とは何か」という基礎知識から出発します。
1. なぜ、自分の生活音が急に気になり始めるのか
生活音に対する不安のきっかけは、人によってさまざまです。
在宅ワークでオンライン会議の声が増えた、楽器の練習を再開した、子どもが歩き始めて足音が大きくなった、犬や猫を飼い始めて走り回る音が気になる——こうした生活スタイルの変化が、それまで意識していなかった自分の生活音に目を向けさせるきっかけになることが多いようです。

中には実際に管理会社や隣人から注意を受けて、初めて対策を調べ始める人もいます。
どちらの場合であっても、まず理解しておきたいのは「音にはいくつかの種類があり、種類によって伝わり方も対策の仕方も違う」という基礎知識です。
2. 音には「空気を伝わる音」と「物を伝わる音」の2種類がある
建築・防音の分野では、音の伝わり方を大きく2つに分けて考えます。
ひとつは「空気伝播音」、もうひとつは「固体伝播音」です。
空気伝播音は、音源から出た音がそのまま空気の振動として伝わる音です。
テレビやスピーカーの音、話し声、楽器の演奏音、オンライン通話の声などが該当します。
壁やドアのわずかな隙間からも漏れやすく、遮音等級では主に「D値」という指標で評価されます。
固体伝播音は、床や壁などの建物の構造体そのものを振動として伝わる音です。
代表的なのが足音や物を落とした音、掃除機やドラム式洗濯機の振動などで、「床衝撃音」とも呼ばれます。
さらに、比較的軽くて高い音(物を落とした音や、スリッパで歩く音・椅子を引く音に近い)は「LL値(軽量床衝撃音)」、重くて鈍い音(子どもが走り回ったり飛び跳ねたりする音に近い)は「LH値(重量床衝撃音)」という指標で区別されます。
| 種類 | 代表的な音の例 | 主な指標 |
|---|---|---|
| 空気伝播音 | 話し声、テレビ、楽器、オンライン通話の声 | D値 |
| 固体伝播音(軽量床衝撃音) | 物を落とした音、スリッパの足音、椅子や家具を引きずる音 | LL値 |
| 固体伝播音(重量床衝撃音) | 子どもが走る・飛び跳ねる音、かかとで歩く足音 | LH値 |
自分が気にしている音がこのどちらに近いかを整理するだけでも、「防音カーテンを買うべきか、防音マットを敷くべきか」といった最初の判断がしやすくなります。
3. 建物の構造で「そもそもの伝わりやすさ」が変わる
同じ音量の生活音でも、住んでいる建物の構造によって、隣室や下の階への伝わりやすさは大きく変わります。
一般的な傾向として、次のように整理されることが多いです。
- 木造:壁や床の構造が比較的軽量なため、空気伝播音・固体伝播音のどちらも伝わりやすい傾向がある
- 鉄骨造(S造):木造よりは遮音性が高い傾向にあるが、軽量鉄骨造の場合は木造に近い水準になることもある
- RC造(鉄筋コンクリート造)・SRC造:壁や床が重く厚みもあるため、一般的に遮音性能は高いとされる

ただし、RC造だからといって音がまったく気にならないとは限りません。
配管や梁を伝って離れた部屋にまで振動が響くケースや、築年数・スラブの厚みによって性能に差が出るケースもあるため、「構造が良いから安心」と決めつけず、必要に応じて対策を検討する姿勢が大切です。
自分の住まいの構造が分からない場合は、賃貸借契約書や重要事項説明書、あるいは物件情報サイトの詳細ページで確認できることが多いので、一度チェックしてみるとよいでしょう。
4. 「うるさい」の感じ方は人によって違う。目指すのは「軽減」
音の感じ方には個人差があります。
同じ足音でも、気にならない人もいれば、神経質になってしまう人もいますし、時間帯や体調、その日のストレス状態によっても感じ方は変わります。
この個人差がある以上、「対策すれば絶対に苦情がゼロになる」と保証することはできません。
現実的な目標は、生活音を完全に消すことではなく、無理のない範囲で音を軽減し、トラブルになる可能性を下げることだと考えておくと、対策のハードルがぐっと下がります。
次の記事では、「賃貸でどこまで自分でできるのか」「業者に頼まないと対応できない範囲はどこからか」という、具体的な行動に移る前に知っておきたい境界線を整理します。
今日のアクション
- 自分が気にしている音が「空気伝播音」か「固体伝播音」か、当てはめて考えてみる
- 賃貸借契約書や物件情報で、自分の住まいの構造(木造・鉄骨造・RC造)を確認する
- 次の記事で「工事不要でできる対策の範囲」を確認する


コメント